
経験を活かして自分のお店を持つ「起業・オーナー」へのステップ
キャバ嬢として働いた先に、自分のお店を持つという将来もあります。
ラウンジやバーなど、慣れ親しんだ夜の仕事で独立する道もあれば、美容サロンやアパレル、カフェなど、自分の好きな分野で起業を目指す道もあります。
実際に、愛沢えみりさんはキャバ嬢として働きながらアパレルブランド「EmiriaWiz」を立ち上げています。一条響さんも、現役時代にまつエクサロン「Eye Sound」を開業しました。引退してから次の仕事を探すだけでなく、働いているうちに次の仕事を始めるという選択肢もあるのです。
キャバクラでの経験を活かせるのは、お客様との会話だけではありません。初めて来た方にくつろいでもらうこと、好みを覚えて次の接客に反映すること、料金に見合う満足感を持って帰っていただくこと。「またこの人にお願いしたい」と思ってもらうために工夫してきた経験は、自分のお店でも活かし方を考えられます。
美容やファッションも、普段からお金と時間をかけている女性なら、お客様として感じてきた不便や不満が、お店づくりのヒントになるかもしれません。一条響さんは、まつエクが自分にとって欠かせないものだったことから、この業態を選んだと話しています。自分が通いたいと思えるお店を、自分でつくる。そんな始まり方もあります。
そして、現役中に準備できるものがお金です。「いつかお店を持ちたい」という目標があれば、物件や内装に必要な費用を調べ、毎月の収入から開業資金を積み立てていく。開店後の家賃や人件費、自分の生活費まで考えておけば、貯める金額にも具体的な目安ができます。
同時に考えたいのが、誰に来てもらうお店なのかということです。キャバクラのお客様と、美容サロンやカフェのお客様では、求めているものが違います。SNSも、開店の報告だけに使うのではなく、準備の様子やサービスへのこだわりを伝え、開店前から興味を持ってもらうために使えます。
もちろん、自分の売上をつくることに加えて、オーナーになれば、スタッフの採用や育成、お店全体の支払いも考える立場になります。一条響さんも、開業時には雇用や経営について一から学んだと語っています。接客で身につけたものを活かしながら、経営に必要なことを新しく覚えていくのです。
まだ業種が決まっていなくても、気になるお店の料金や客層を調べたり、経営者のお客様に開業当時の話を聞いたりすることはできます。キャバ嬢として働く期間に、資金を貯め、やりたい商売を見つけ、準備を進める。「自分のお店を持ちたい」を、具体的な開業計画に変えていく時間にもできるのです。
SNSの発信を活かして「インフルエンサー・モデル」として輝く道
キャバ嬢として働きながら、SNSを通じてお店の外にもファンを増やし、モデルやインフルエンサーの仕事へと活動を広げる道もあります。ドレスやカラコンのモデル、コスメのPR、動画への出演など、美容やファッションに関わる仕事は、日頃の自分磨きとも結びつきやすい分野です。
実際に、一条響さんはカラコンブランド「colors」のイメージモデルを務め、商品のプロデュースにも携わっています。キャバ嬢として知られる女性が、女性のお客様に向けて商品を紹介する立場でも活躍しているのです。
発信する内容も、ドレス姿や華やかな食事の写真だけに限りません。仕事中も崩れにくいメイク、体のラインをきれいに見せるドレスの選び方、ヘアセットに合わせたアクセサリーなど、普段から工夫していることが投稿の題材になります。
自分にとっては当たり前でも、「そのリップはどこの?」「どうしたらそんなふうに着こなせるの?」と知りたい人がいるかもしれません。使った商品名に加えて、選んだ理由や実際の使い心地まで伝えれば、見た人が自分の買い物やメイクの参考にできます。
また、写真では伝わりにくい話し方や笑い方、ちょっとした面白さも、動画なら見てもらえます。愛沢えみりさんも、YouTubeを始めたことで自然な姿への好意的な反応があり、自身のブランドの店舗イベントでも、動画を見たという声を聞くようになったと話しています。きれいに写った一枚から興味を持ってもらい、話している姿を通じて、さらに好きになってもらう。そんな発信の仕方もあります。
その先にある仕事は、内容によって異なります。モデルなら、服や商品の魅力が伝わるように撮影に参加すること。インフルエンサーなら、自分の投稿を見ている人に向けて、企業の商品やサービスを紹介することです。自分が着るとドレスがどう見えるのか、コスメの色や質感をどう撮れば伝わるのか。日々の投稿でも、将来の仕事を意識した練習ができます。
準備としては、プロフィールに仕事の問い合わせ先を載せ、得意なメイクやコーディネートがわかる投稿をまとめておく方法があります。依頼する側が「この人に何をお願いできるか」を判断できるようにしておくのです。反応の良かった投稿や、よく寄せられる質問を見返せば、自分のどんなところに興味を持ってもらえているかも考えやすくなります。
お店への来店をきっかけに知ってもらう関係に加えて、遠方に住む人や、キャバクラには行かない女性にも応援してもらえることは、SNSならではの可能性です。現役中から美容やファッション、自分の好きなことを発信し、引退後も投稿を楽しみにしてもらう。キャバ嬢としての毎日が、次の仕事で自分を知ってもらうきっかけにもなります。
美へのこだわりを形にする「美容サロンやアパレル」の立ち上げ
ネイルやエステに通い、ドレスやコスメを選ぶ。キャバ嬢として働く中で、美容やファッションに詳しくなり、「いつか自分でもお店やブランドをつくってみたい」と考える女性もいるでしょう。自分がきれいになるために試してきたことを、今度は誰かに提供する仕事です。
そのときに活かせるのは、お客様としていろいろな商品やサービスを比べてきた経験です。「仕上がりは好きだけれど、施術時間が長くて予定を組みにくい」「写真ではかわいかったのに、着てみると体のラインがきれいに見えない」。実際にお金を払ってきたからこそ、気づけることがあります。
たとえばネイルサロンなら、ドレスに合わせたデザインを相談できることや、出勤前に通いやすい営業時間も、お店の特徴として考えられます。エステなら、施術前の説明のわかりやすさ、着替える場所の使いやすさ、施術後にメイクを直せるスペースなど。自分が通っていて「ここまで気を配ってくれるとうれしい」と感じたことを、お店づくりに取り入れられます。
一条響さんも、まつエクサロンの開業にあたり、周囲の視線が気になる方でも訪れやすい空間や、清潔感、居心地の良さを考えたと話しています。美容の仕上がりに加えて、そこでどう過ごしてもらいたいかにも、オーナーのこだわりを反映できます。
アパレルなら、普段ドレスを着ているからこそ気になる点が、商品づくりの出発点になります。座ったときの丈、胸元の開き具合、下着の響きにくさ、長時間着たときの窮屈さ。「もう少しここが違えば、もっと着やすいのに」という感覚を、具体的な形にしていくのです。
愛沢えみりさんの「EmiriaWiz」でも、袖の形で腕周りを華奢に見せたり、素材の厚みや肌触りを工夫したりと、見え方と着心地に関わる特徴を紹介しています。美へのこだわりは、こうした一着ごとの細部に表れます。
立ち上げに向けては、自分がどの仕事を担いたいかも考えておきたいところです。サロンで自ら施術をするなら、技術や衛生管理を学び、経験を積む準備が必要になります。技術者と一緒にお店をつくるなら、自分は接客や集客、サービス内容の企画など、何を担当するのかを具体的にしていきます。
服づくりも、デザインのイメージを出した後に、生地選びやサンプルの確認、サイズの調整などが続きます。愛沢えみりさんは、立ち上げ当初、自ら海外の工場へ足を運び、生地や製造の現場を確認したと語っています。好きな服を思い描くところから、実際にお客様へ届けられる一着に仕上げるところまでが、ブランドの仕事です。
現役中からできる準備としては、気に入った商品や施術について、「なぜ良かったのか」「どこを変えたいのか」を記録しておくことも挙げられます。身近な女性の悩みも聞いてみれば、自分と同じ不便を感じている人がいるかもしれません。
「こんなサロンがあったら通いたい」「こんな服があったら買いたい」。その気持ちを具体的なサービスや商品にして、同じものを求めている女性へ届ける。美容やファッションが好きで、細かな違いまで気になる女性にとって、そのこだわりを仕事にできる将来です。
将来の安心を作る「不動産や投資」での賢いお金の増やし方
キャバ嬢として得た収入を、引退後の生活を支える資産に変えていく。将来を考えるうえで、不動産や株式、投資信託などの運用も選択肢になります。現役中に収入の一部を残し、育てていくことができれば、次の仕事を選ぶときにも余裕を持ちやすくなります。
たとえば、毎月10万円を残せば、運用による利益を含めなくても、5年間で600万円です。毎月20万円なら1,200万円になります。どれだけ稼いだかに加えて、そこからいくら残せたかによって、引退するときの状況は変わります。
まず考えたいのは、お金を使う時期です。税金の支払いや生活費、近いうちに予定している引っ越し、留学などに使うお金は、すぐに取り出せる預貯金で確保する。そのうえで、当面使う予定のないお金を、長期的な運用に回すという考え方があります。金融庁も、資産形成では家計を把握し、目的に応じて貯蓄と投資を使い分けることを案内しています。
株式や投資信託を検討するなら、NISAについて知っておくと役立ちます。NISAは、一定の投資枠の中で購入した対象商品の運用益が非課税になる制度です。利益を保証するものではありませんが、将来に向けた資産形成に利用できます。
毎日株価を追い、売買を繰り返す方法だけが投資ではありません。毎月決めた金額を積み立て、投資先を複数の地域や資産に分け、長く保有する方法もあります。仕事が忙しい女性にとっても、日々の売買に時間を取られずに続けられる方法を考える余地があります。ただし、長期・積立・分散を取り入れても、値下がりや元本割れの可能性は残ります。
まとまった資金を用意できるようになれば、賃貸用のマンションなどを購入し、家賃収入を得る道もあります。現役中に貯めたお金を購入資金の一部に充て、引退後にも収入が入るようにする考え方です。
不動産の場合は、受け取る家賃と、実際に手元に残る金額を分けて見る必要があります。管理にかかる費用や修繕費、税金、ローンを利用する場合の返済などがあるためです。空室で家賃が入らない期間も含めて計算し、無理なく保有できる物件かを見極めます。国土交通省の資料でも、不動産の収益を評価する際には、空室による収入減や維持管理・修繕などの費用を考慮しています。
キャバクラで働いていると、お客様との会話で経営や投資の話題に触れる機会もあるでしょう。興味を持つきっかけにしながら、紹介された商品や物件については、費用や収益の仕組みを自分でも確認する。お金を預けた後にどうなるのかを理解することも、稼いだお金を残すための準備です。
資産があれば、引退後すぐに高収入の仕事を見つけなければ、と焦らずに済むかもしれません。学び直しの時間を取る、勤務日数を減らす、興味のある仕事に挑戦する。現役中の頑張りを、将来の自分が働き方を選べる余裕につなげていくこともできます。
資格を取って新しい道へ進む「専門的なお仕事」へのキャリアチェンジ
キャバ嬢として働く期間を、次の仕事に必要な資格や技術を身につける時間にすることもできます。収入の一部を学費や講座代に充て、出勤日を調整しながら勉強を進める。転職する前に準備ができれば、「辞めたいけれど、次に何ができるかわからない」という状態から、一歩進めます。
たとえば、不動産の仕事に興味があるなら、宅地建物取引士、いわゆる宅建が候補になります。試験は学歴や実務経験を問わず受験でき、働きながら独学や通信講座で合格を目指せます。ただし、宅建士として業務を行うには、試験合格後に資格登録や宅地建物取引士証の交付などの手続きも必要です。実務経験が足りない方には、登録実務講習を受ける方法があります。
不動産の接客では、住みたい場所や予算、暮らし方の希望を聞き、条件を整理して提案します。キャバクラで身につけた、初対面の方と会話をする力や、相手の話を丁寧に聞く習慣も、専門知識と組み合わせて活かせる場面があるでしょう。
経理や会計の仕事を考えるなら、日商簿記を学ぶ道もあります。売上や経費、利益など、会社のお金の動きを理解するための勉強です。日商簿記2級では、商業簿記に加えて工業簿記や原価計算も学び、企業の会計実務に関わる知識を身につけます。経理職への応募を考える際には、資格の勉強とともに、求人で求められるパソコン操作や実務経験も確認しておくと、準備する内容が見えてきます。
看護師など、学校に通って専門職を目指す選択肢もあります。看護師の場合は、一般的には看護大学や3年課程の養成所などで必要な教育を受け、国家試験に合格して免許を取得します。授業に加えて実習もあるため、入学前に学費と生活費を貯め、忙しい時期には出勤を減らせるようにしておくなど、数年単位の計画が必要になります。
心理の仕事や語学を使う仕事に興味がある場合も、まずは働きたい場所と仕事内容を調べるところからです。相談を受ける仕事なのか、通訳や翻訳なのか、外国のお客様に接する仕事なのか。目指す仕事によって、必要な資格や教育、語学力は異なります。求人や養成課程を見比べれば、自分が何を学ぶべきかを絞りやすくなります。
勉強と仕事を両立するうえでは、昼間の時間をすべて使えるわけではありません。夜の勤務後には睡眠も必要ですし、同伴などで出勤前の予定が入ることもあります。「休みの日は授業を受ける」「試験前は出勤を減らす」など、勉強時間を先に決め、お店と相談できる働き方を選ぶことも準備の一つです。
実際に、キャバ嬢として働いた経験のある方が、宅建の合格体験をnoteで公開しています。その投稿では、動画教材の活用や、学んだ範囲の問題をすぐに解くこと、短時間でも毎日勉強に触れる工夫が紹介されています。自分の生活の中で続けられる方法を見つけることが、資格取得への具体的な一歩になります。
キャバクラで得た収入を学ぶために使い、接客経験に新しい知識や技術を加えていく。引退する時点で、応募したい仕事と、そのための準備ができていれば、次の道へ進みやすくなります。